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俳優、石田延之こと鏡京太郎が綴る36年間、鏡の中に封印してきた想いと未来を綴るぺーじ。
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暑いですねぇ。
昔は平気だったけど、歳とったというより暑さの質が違う気がします。
何より季節感がなさ過ぎ。いつのまにか梅雨が終わって、気がついたら秋になってる時期なのに、残暑が厳しい…とか。
間もなく小説アップします。
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 数分間、揺れは続いた。やがて、大地のドラムがこんどは、唐突に消えた気がした。どうやら地震は納まったものらしかった。

小原が目を開けてみると
凄まじい光景が目の前にあった。

 道路を隔てて林立するビル群には目に見える大きな亀裂が入り、そこかしこで黒煙を噴き上げている。
道路は地割れによって陥没し、あちこちで水道が噴出している。怪我をした人達の助けを求める声が唸りのように聞えて来る。ついさっきまで、目の前で営業していた筈の店は、そこには何もなかったかのように崩れ去っていた。大震災は知らない小原だったが、それまでに経験した地震の揺れとは、どこか異なる揺れであった。

「何てこった!佐伯!皆!大丈夫か!」

 従業員の安否を気遣い小原が叫んだ。

「大丈夫です!」

 落ちて来たガラスの破片で切ったのであろうか、額から血を流した佐伯が答えた。

 店は辛うじて原形をとどめていたが、厨房から小さな火の手が上がりスタッフが消火にあたっていた。あちこちに亀裂が入っている。幸い、新しい物件であることと、資金が潤沢だったこともあり、設計には念が入っていた。その為か店はしっかりと大地に根を張っているように見えた。

 スタッフの無事を確認した小原は全身の埃や破片を払った。

 漸く、人心地ついた思いで空を見上げた。

 竜雲が朱色に染まる天空を覆い隠すように、突如湧き出た分厚い雲の中へ吸い込まれ、かき消えて行くのが見えた。

 まるで、本当に竜が尾をくねらせて雲間に消えてゆくような、生き物のように見えた。雲は天変地異を予言することがある。あの空の色と言い、竜のような形と言い、雲が地震を招き寄せたのでは?と一瞬思わせるような不気味な雲であった。

「嶋さん!…嶋さんや蔵元さんは大丈夫だろうか!」

 破壊された街並みを前に、小原は二人の安否を気遣いポケットから携帯電話を取り出した。

「オーナー!あれは何ですか!?」

 佐伯がスットンキョな声を出し、小原に声をかけて来た。

 佐伯が促す方向を見ると、崩れ落ちた目黒新橋手前の空間が陽炎のように歪み、その歪む空間に出来た裂け目の中に黒い影のような物が入って行くのが見えた。ゆらゆらとしているようで、明らかに確かな形を持っている。

 黒い影が消えた後、空間は何事もなかったように歪みも消え、黒煙と炎にあぶられるかのように惨状が横たわっている。

「何なんだあれは!?」

 小原は声にならない声で言い、錯覚でない事を確かめるように佐伯と顔を見合わせた。

不思議な現象であった。

破壊された街に立つ二人は、言葉を失いただ呆然と立ちつくしていた。


 

…つづく



去る6月29日の撮影の時のヒトこま。一緒に写っているのは小中和哉監督です。
これ、全然知らなかったんですが、脚本が面白いんですよ。いきなり~時間後に死ぬと予言された男女の、未来を変えようと奮戦するお話なんです。詳しいことは見てみてください。
見ての通り僕の役はなんかの学者ってところでしょうか。
しかもあの蒸し暑い一日というのに、冬着での撮影なのでもう…。
小中さんは「6時間後に君は死ぬ」総合演出・監督、

原作者の 高野和明さんが「どうしても自分で!」と希望されていたことから、脚本、演出もてがけられたのが続編の「3時間後に君は死ぬ」となります。
主演は
塚本高史くん、真木よう子さんです。放送はWOWOW191chで9月28日午後10時からです。このお話、原作は講談社から出ています。
昨日、アップした小説の続きですが、データ上不備があり、一部で大きく文字化けするとのことでしたので、データ修正し再アップさせていただきました。
尚、旧データは削除させていただきましたが、含まれていたいくつかのコメントも併せて削除という形になってしまいました。
投稿していただいた方には大変申し訳なく思っております。
ごめんなさい。

JR目黒駅から、目黒通を大鳥神社方面に向かうと、途中緩やかな下り坂になっている。その坂を下りきった所に小原晋吉の新店舗はあった。

 三十坪ほどある店内では、小原をはじめ、厨房スタッフ3人、フロアースタッフ4人が夕方からの新規開店に向け忙しく動いていた。

「オーナー、ロビー花外に並べますがいいですか」

 フロアースタッフの佐伯が小原に聞いて来た。

「ああ、頼む」

 答え、店内に置かれた五台のロビー花を見た小原は、その中の一台に目が止まった。

 送り主は、嶋 暁彦であった。

 小原は十数年前、リストラされたのを期に脱サラし、長年の夢であったレストラン経営を始めた。だが、経営に関しては素人の悲しさか、店は失敗に終わり多額の負債を抱える事になってしまった。
それが元で妻子には逃げられ、その後は、屋台を引きその日暮らしの生活を送っていたのだ。

ところが、ひょんな事から元レーサー嶋暁彦と知り合った。自分同様に過去に購いきれない傷を持った嶋に、どことなく同じ影を見たからかもしれなかったし、単に同じアパートの住人というよしみだったかもしれない。

 だが、しばらくしてその嶋が、
「人生をやり直してくれ」

と、どの様にして手に入れた金なのかわからなかったが、多額の金額を渡してくれたのだ。

「・・・嶋さん。ここまで漕ぎ着けられたのは、あなたのお蔭だ・・・」

 小原は、呟く様な声で感謝の気持ちを口に出した。

その嶋暁彦が、今日の開店祝いに来てくれる事になっているのだ。

腕時計を見ると、時計の針は340分を指している。

「開店まで、あと一時間と少ししかないぞ! 準備急いでくれ!」

 小原は、スタッフに声をかけた。

「はい!」

 威勢のいい返事が返って来る。

と、入口ドアが開き、ロビー花を外へ飾り置きに出ていた佐伯が血相を変え小原を呼んだ。

「オーナー、一寸来て下さい! 変なんです!」

「どうした?」

 小原が外へ出ると 通りでは大勢の人たちが西の空を見上げている。

「あれ・・・。何でしょうね?!」

 佐伯は怪訝な顔で空を指差した。

 見ると、茜色に染まりだした空に、竜雲が天空を舞うように幾つも浮んでいた。

 その雲は、自らが自発的に発しているのか不気味な色を発している。

「気持ちの悪い雲だな・・・。生きているみたいだ」

「・・・そうだな・・・。それより佐伯君、開店は5時だ、急いでくれ!」

 言って小原は店内に戻ろうとした。

 その時、地の底で地鳴りが響いてきているのが耳に入った。まるで下手糞なドラマーが狂ったように、ビートを刻んでいるような低音が、次第に大きくなり、我慢ならんといった感じでそれが突きあげてきた。

大地がなにかに怒るかのように、奇怪な音をたてていた。

 堪らず小原は地面に這いつくばった。

  「地震か!?」

 目の前の道路がうねっていた。走行中の車は軋み、ブレーキで悲鳴を上げた。それでもハンドルを取られたのか、四方八方に飛び出すと電柱にぶつかったり、落下物に遮られるかして止まっていた。 
突然の異変に人々は逃げ場を失い右往左往していた。一歩前に進もうにも揺れが激しく、下手糞な波乗りのようにぐらついては倒れている。そこへ、割れたガラスや、飛びだした家具が降り注いでは、惨状を広げていった。

頭を両手で庇い小原は地面につっぷしているより術がなかった。
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誕生日:
1971/12/05
職業:
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 現在、発売中の『さよならミラーマン』の86頁ー当時の制作主任、設楽氏と助監督、北村氏の対談において以下の件~ ”~志村さんは、下に優しく上には厳しい人なんです。絶対お世辞を言わない、珍しい人でした。損と言えば損ですよね。世渡りベタというか。あ、この人も出世しない人だ(笑)。*(山浦さんとの対談参照)  とあります。これは脚本家の山浦弘靖氏との対談において設定上「出世しない人」という言葉があり、それにリンクするものとして捉えておりましたが、86頁においてもスタッフ思いであり、スタッフの為に上にも媚を売らない凛とした性格ーそれ故にスポンサーなど上とはぶつかることも多く、才能があるのに出世はしずらいー という意味として対談時の通り記述させていただきました。  ですが、とらえようによっては誤解を招く文章でもありますし、また発言者となった北村氏にもご迷惑をかけかねない要素も含まれておりますので、ここに弁明並びに不用意な文法となったことをお詫び申し上げます。また、この文章を読まれて御不快に思われた方には、真意は異なるということと、不用意な文法である点に関してお詫びを申し上げるとともに、ご理解賜りたくここに敢えて記載させていただきます。 株式会社大洋図書  「さよならミラーマン」編集スタッフ一同
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