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そこは、暗闇だった。
闇はどこまでも続いていた・・・・・。
嶋は、在るともわからぬ出口を求め暗渠の中を彷徨いながら、鏡の中に閉じ込められてからの事を思い返していた。
ジャックされ羽田空港に緊急着陸したTAR351便。
そのトイレの鏡から出ようとした時であった。
鏡の中の空間が波打ち始め、辺りに浮遊するガラスの窓枠が蠟燭灯が溶けるかのようにどろりと融解し始めたのだ。
突然の現象に驚いたが、嶋は改めて機内トイレに備え付けられている鏡に向かい、目出し帽を頭からかぶると、体を押し付けた。
何度試みても嶋の体は跳ね返されてしまう。
「何故だ!」
不安が渦のようにとぐろを巻く。
だが急がなければ、ハイジャック犯は何をしでかすか分からない。嶋は別の鏡へと向かった。
覗くとそこからは機内の様子がよく見える。客室前方に取り付けられている鏡のようだ。
嶋は、内部の様子を窺った。
銃を持った大男が三人通路に立ち、客たちを威嚇していた。客たちは、恐怖に顔を引き攣らせ恐れおののいている。
と、突然機内の空間が歪み始めた。
乗客たちは、人質にされている恐怖と周りで起きた奇怪な現象に恐れおののいている様子が見える。
そして、歪みの中に出来た裂け目から液体のようなドロドロとした黒い物体が現れた。機内はパニック状態になっている。
歪の中から湧き出るように床に流れ出た黒い液体は、徐々に人の形を模って行き甲冑に似た衣装をまとった小男の姿になった。
小男は、雪村幸男であった。
「雪村!・・・生きていたのか!」
死んだと思っていた雪村が生きていた。
嶋は愕然とした。
かつて、病院地下で対峙した雪村。今度は何をするつもりなのか?
とにかく、急ぎ現世に出ようとガラスの窓枠に体を押し付けた。
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