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俳優、石田延之こと鏡京太郎が綴る36年間、鏡の中に封印してきた想いと未来を綴るぺーじ。
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 少し、お久しぶり…ですね。
文字通り、ハードSFの雰囲気を持つ
ハナガミ王子さんのお話と、ミラーマンというより鏡京太郎の後日談的なMISSHANさんのお話も、どちらも全く別のお話になりそうで楽しみです。

さて、私事で恐縮ですがここのところ、なんだかよく分かりませんが雑事に追われまくっております。また、ロケがいくつか立て続くことになりそうです。今後、少々更新などに時間がかかることが予想されますので、ご理解くださいませ。

小説自体も、書く時間が随分と削減されてしまっているので、ある部分より先が真っ白です。

そんなわけで、しばらく更新されたり、まんまだったりが続きますので、思い出したらきてみてください。

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無題
京太郎さん、こんにちは
私の小説を楽しみと言っていただけて、恐れ多いです。
ロケのお仕事ということは、今後の放送に期待していいって事ですか?今度は、私の見れる放送局でありますように…。
また、放送予定など、お知らせしていただけたら、ありがたいです。
まだまだ暑い日が続きそうですので、体調を崩さないよう頑張ってください。
そして、元気にお誕生日をむかえられますよう、私祈ってます。
MISSHAN 2008/08/11(Mon)13:40:41 編集
「京太郎再び」その2。
 爆弾を取り除く手術から、数週間が経ち、手術の傷がふさがり、安静度が、ベッド上から、病室内まで上がったが、京太郎は、ベッド上からなかなか動けないでいた。
 京太郎の全身痛が続いていたのだ。というより、体を動かしてよくなれば、なるほど、京太郎の体は、まるで錆付いた機械のように固く、少しでも動こうものなら、関節は軋むようにギシギシと音をたて、まるで、体の内外から、剣山のような無数の針で、刺されるような激痛が襲っていた。
 それだけではない、京太郎にとって外部刺激すべて、ちょっとした振動さえも、痛みを感じる状態だった。
 京太郎は、寝返りさえも、うめき声をあげていた。
 「京太郎、どーや、調子は?」
と、いつものように、堀田美紗医師が、病室に入って来た。
 京太郎にとって、この地球の世界で唯一、京太郎の全てを知り、受け入れてくれた人物である。
 堀田美紗は、御手洗博士の娘、かつて、京太郎が思いを寄せていた朝子の娘、美紗。
 京太郎が、二次元の世界へ行ってしまった後、京太郎の事が忘れられず、引きこもりがちだった朝子に、強引に父の御手洗博士が、優秀な医師として一目おいていた堀田という青年と見合いをさせ、結婚し、生まれた娘である。
 京太郎が、手術後、なかなかこの事実を受け入れられない事を察した美紗は、京太郎へ語ってくれたのは…。
 母、朝子は、私が父の後を継ぎ、医師を目指した時、京太郎の事を話してくれた。
 そして、病に倒れた時に、京太郎が朝子に残していったペンダントを美紗に渡し、
 「私が愛していたのは京太郎さんだけ。あなたの父さんを愛そうとしたけど、どうしても出来なかった。ごめんなさいね」と言って亡くなった。享年51才だったという。
 美紗が、医師として自立した時、ミラーマンの父から、京太郎を託されたということも…。
 京太郎も、朝子の事をずぅーと思い続けていた。
 あの二次元の世界へ行く時…朝子へ、「永遠に忘れないよ」と告げた言葉通りに…。
 京太郎は、朝子も自分の事を思い続けていた事を知り、涙を流した。
 それを見た美紗が、しみじみと京太郎の顔を見て、
 「母が言ってた通り、ええ男やなぁ~、これじゃぁ忘れられんのも無理ないわ」
と、またもや、あっけらかんと話し、こう続けた。
 「京太郎、知っとるか?今この病院で、ダントツ1位やで、京太郎の人気」
 京太郎は、何の事やら分からず。
 「人気って?」
 美紗は、笑って続けた。
 「京太郎がイケメンやから、看護師の口コミで、病院中に広まり、モテモテということや、あまりに部屋を覗く人が多いから、覗き禁止にしてあるんやで」
 京太郎は、聞いた事のないイケメンという言葉の意味が分からず、きょとんとしていると、美紗は、さらに、
 「京太郎は、気づいてなかったんか?まぁしゃーないな、今は自分の体の痛みとの戦いで、精一杯のようやから」
 京太郎は、看護師が言っていた言葉を思い出した。
 「鏡さんが来る前は、作業療法士の須賀さんが、一番人気だったんですよ~でも、自分がいい男って、鼻にかけてたから、私は、嫌だったけど…いい気味よ、今は、誰も相手にしやしない。だから、面白くないみたい。気を付けてね、鏡さん、ああいうタイプは、嫉妬すると恐いから」
 京太郎は、イケメンっていい男って意味かぁと思っていると。
 美紗が、
 「あっ、そうそう言い忘れとった。来週から、リハビリ開始や、なんとかその固くなった体をほぐさんとあかんしな」
 京太郎は、はっとすると同時に、嫌な予感がしていた。

続く?!
MISSHAN 2008/08/11(Mon)17:03:10 編集
ハナガミ流ミラーマン2008
「驚いたかね、京太郎君。村上と安田は、我々が預かっている。二人を助けたければ、私の指示に従うんだな。」御手洗博士の声だった。まさか先生がインベーダー!?京太郎は博士の指示通り、郊外にある小さな公園に向かった。誰もいない。そして、指定されたベンチに座った。しばらくすると、背後に人の気配を感じた。「ようこそいらっしゃいました。」男が後ろに立っていた。「決して振り向かないでください。もし振り向いたら・・・分かっていますね。」男は、京太郎の首筋に銃口を押し付けた。「村上さんと安田さんは、無事なんだろうな!」それには答えず、男は公園の前に停まっている黒い乗用車の助手席に乗るように言った。「ご案内します。」
ハナガミ王子 2008/08/13(Wed)00:16:16 編集
「京太郎再び」その3。
 京太郎の嫌な予感は、的中していたが、最悪の事態はまぬがれた。
 リハビリ室で、京太郎を待っていたのは、理学療法士の佐久間で、作業療法士の須賀が担当ではなかったのだ。…だが、同室内で、他の患者を担当していながらも、須賀の刺すような敵意をはなつ視線が、京太郎に向けられていた。
 京太郎は、それどころではなかった。
 すぐにマッサージから始まったリハビリで、京太郎の体が、悲鳴をあげ、京太郎はたまらず、声を出して痛がった。
 堀田医師より、説明を受けていた佐久間であったが、京太郎の体が、こんなに固いとは思っていなかったので、驚いていた。
 そこへ須賀がやって来て、
 「こいつ、わざと大げさに言ってんじゃねぇか、おい見ろよ、あそこ」
 須賀が、指差した先には、女性患者だけではない…どこから集まったのか、女性職員までもが、京太郎を心配そうに見つめていた。
 女性達は、口々に、
 「あんなにきつくしなくったっていいじゃない、かわいそうに。自分よりいい男だから、ひがんでいるのよ、きっと」
 佐久間は、チビ、デブ、ハゲとそろった、不細工代表のようなルックスだが、たとえそう思っていても、仕事に持ち込むような男ではなかった。
 佐久間は、ぐっと唇を噛みしめ、ムッとしながらも、仕事を続けた。
 京太郎は、激痛に耐えながらも、声をださぬよう、ぐっと唇を噛みしめ、声を出さなくなった。
 須賀は、そんな二人を見て、
 「見せ物じゃないんだ!」と、リハビリ室の出入口で、へばりつくように、京太郎を見入っている女性達を一喝し、開けっ放しにしていたリハビリ室のドアをピシャリと閉めた。
 口々と文句を言いながら立ち去る女性達。
 須賀は、黙々とマッサージを続ける佐久間。そのマッサージを激痛に耐えながら、声を出さずに受け続ける京太郎を見て、理屈無しで、かっこいいと思い、今までの自分を恥じた。
 「男は、ルックスだけじゃねぇんだ…」
 京太郎のリハビリが、終わった時には、須賀の視線はすっかり穏やかになっていた。
 京太郎は、そんな須賀に向かって、
 「さっきは、ありがとう」
 と言った。
 それを聞いた須賀は、照れ臭そうに、頭をかきながら近づいて、耳元で、
 「こっちこそ、ありがとう」
 と言った。
 京太郎は、何故お礼を言われたのか分からず、戸惑ったが、それを見ていた佐久間を含めた三人は、自然と笑みがこぼれていた。

続く?!
MISSHAN 2008/08/16(Sat)00:57:51 編集
ハナガミ流ミラーマン2008
京太郎は言われた通り、助手席に座った。運転席のサングラスの男は、アイマスクを手渡した。「目隠しをしてください。」銃を持っていた男が後部座席に乗り込むと、車は静かに走り出した。暫くすると、体が宙に浮いたような感覚になった。(車が空を飛んでいる!?SF小説じゃあるまいし・・・。)5分ほどすると、「到着しました。」と、運転席の男が言った。アイマスクを外した京太郎は窓の外を見た。車は、先程の公園前に停まっている。しかし、よく見ると、まわりの様子が少し違っているようだ。ビルが建っている。車が走っている。人々がベンチで談笑している・・・。 (タイムマシン!?そんなモノが、この世の中にあるがない!)
ハナガミ王子 2008/08/16(Sat)19:15:18 編集
「京太郎再び」その4。
 京太郎のリハビリは、苦痛を伴うのには変わりなかったが、痛みがありながらも、体は徐々にに動かせるようになってきた。
 京太郎には、まだ課題があった…それは、今の時代を知ること。
 身の回りの機械類の変化、言葉の変化等々…どれもが、京太郎にとって知らないことばかり…それを一つ一つ京太郎は、美紗に聞いて、覚えていった。
 美紗にとっても、それは、新鮮な驚きだった。
 「そうか、京太郎がかつて生きていた地球と今の地球は、同じじゃないんだ」
 美紗は、現在三十才、京太郎は、二十三才。
 美紗は、母(朝子)が愛していた京太郎が、母がかつて若かった頃のそのままの姿で、目の前にいる。
 しかも、今の自分より、七つも年下の姿で…本当は、ずっと年上のはずなのに…。
 美紗は、改めて京太郎に言った。
 「京太郎、私は、ほんまは、ずっと年下のはずや、このままの呼び方では、あかんと思うんやけど…?」
 京太郎は、笑って、
 「今のままの呼び方で、どーぞ。今の僕は、先生より年下なんだから…今から変えたら、かえっておかしいですよ」
 美紗は、ふっきれたように、
 「そ、そうやな、見た目年下の京太郎に、今さら、さん付けなんて、しゃれにならへんな…あはは」
 京太郎も、うなずいて笑っていた。
 京太郎は、思った。“久しぶりだな、こんなふうに笑ったの”そして、ポケットに入れてあるペンダントを取り出し見つめ、思った。“お父さん、ありがとう。僕は、この世界に戻って良かったんだと今、ようやく素直に思います”と、目をうるませ、ペンダントを握りしめた。
 美紗が、照れ臭そうに言った。
 「そやけど、先生は、ないやろ…?」
 京太郎は、はにかみながら、
 「先生ですよ。僕の手術をしてくれて、今、こうして、今の時代のことを教えてもらっているんですから」
 美紗は、さらに照れ臭そうに、
 「そうかぁ、まぁ、京太郎が呼びたいように、呼べばええんやし」
 二人は、お互いに、顔を見合せた。
 京太郎は、思った。“朝子さんは、もういない、今の僕の前にいるのは、美紗さんだ。今、僕は、この美紗さんを好きになり始めている”
 美紗も、京太郎のきれいな瞳とその甘いマスクに好意を抱いていた。“はじめは、自分が守っていくだけの男と思っていただけなのに”
 美紗は、顔が赤くなるのを隠すように、あわてて、
 「あっ、こうしちゃいられん、仕事や仕事!」
 と、足早に病室を後にした。
 京太郎は、思った。“今は、美紗さんに守られているけど、いつかは、美紗さんを守っていける男になって、そして…”
 京太郎は、すでに美紗が出て行った病室のドアに向かって、
 「待っていてください」
 と、言った。


続く?!
MISSHAN 2008/08/17(Sun)13:11:44 編集
ハナガミ流ミラーマン2008
ここは現代なのだろうか?「さあ、車を降りてください。」男はあくまでも紳士的だが、京太郎の背中に拳銃を向けたままだ。そのまま、近くの雑居ビルに案内された。ドアを開けて、京太郎は驚いた!村上と安田が、こちらを見て笑っているではないか。「驚いたかい?」安田が悪戯っぽい顔をして言った。拳銃を突きつけていた男が、サングラスを外して笑った。「俺だよ。」藤本だった。「分からなかったろう。どうだった、俺の芝居は?俳優にでもなれば良かったかな。」
ハナガミ王子 2008/08/18(Mon)01:27:15 編集
「京太郎再び」その5。
 京太郎の入院生活は、まだ続いていた。
 理学療法と痛み止め薬で、日常生活は、支障なく動けるようにはなったが、全身痛を我慢するだけで、体力を消耗してしまい、高カロリー食を摂取しているにもかかわらず、体重は、一向に増える事なく、日によっては、減少していることもあった。
 フラフラに疲れ果てた時、何故が取り出した爆弾が入っていた、心臓近くが、まるで、ミラーマンのベルトのカラータイマーのように、ズキンズキンと規則正しく、痛み出すようになっていた。
 そんな時は、速やかに、エネルギーを取らないと、動けなくなってしまう。美紗は、この状態を発作と呼んだ。
 京太郎は、焦っていた。
 早く体力をつけて、仕事をして、ある程度の収入を得て、自信を持って、美紗に告白したいと思っていたからだ。
 京太郎が、自分の異変というより、そのテレパシー(精神感応能力)に気付いたのは、たまたまリネン交換で、病室の前の廊下で、その作業が終わるのを待っていた時だった。
 京太郎は、テレパシーを持っているのは自覚していた。ただそれは、ミラーマンの父やインベーダーからのメッセージを受ける時のみ使えるものだと思っていた。
 だが、今は、それとは違う感覚で、何やら、人の思考が、自分の中に流れ込んでいるのを知った。
 回りの人達は何も会話していないのに、ごちゃごちゃと、あらゆる方向から入り込んでくる人の思考。
 京太郎は、それを絞り込み、すぐ目の前の人の思考を読み取ることが出来るようにコントロール出来るようになっていった。
 京太郎は、さらに、「心の中の門を開ける」という言葉で、他の見る、聞く等の精神作業と区別出来るようになっていった。
 そして、「心の中の門を開け」た以上は、必ず、「心の中の門を閉め」なければならないことを京太郎は、厳しく自分に定めていた。
 「心の中の門を開け」たままにしておくと、相手の思考がどんどん流れ込んできて、ついには、相手の喋ったことと考えたことの見分けが分からなくなり、自分のテレパシーを相手に知られるという非常に危険な事態になり兼ねないことを京太郎は、ミラーマンである自分を秘密にしていた経験からも悟っていた。
 そして、美紗の心の中だけは、絶対覗かないと、心に誓っていた。
 京太郎は、退院へ向けて、病院の事務の仕事を手伝うことになった。
 午前中の外来患者が多い時間だけだが、京太郎が、雑用や軽作業を手伝うだけで、事務所は、多いに助かり、仕事がはかどるのであった。
 特に、女性職員達は、京太郎の気を引こうと、躍起になっていた。
 京太郎が、少しでも、そんな女性達と言葉を交わそうものなら、皆が(キャーキャー)心の中ではしゃいでいるのを京太郎は、時々、心の中の門を開けて、覗いて知っていた。
 男性職員達は、半ば呆れ顔で、女性職員を見て、
 (何をやっても無駄だよ、鏡は堀田先生の彼なんだから)
 (ちくしょー。鏡の奴が来るようになってから、俺の事無視かよ、やってられねーよ)
 (いいよなぁー鏡はイケメンで、同じ男で、どうしてこんなに違うんだ)
 と、それぞれの思いを持っていることも京太郎は、心の中を覗くことによりわかっていた。
 だが、ただ一人、京太郎に敵意むき出しの男がいた。
 二十七歳で、すでに結婚していたが…何でも自分に注目が集まらないと気にいらない、自己中を絵に描いたような男だった。
 湖賀郁巳、彼は営業マンで、この病院に出入りしている製薬会社の一人だった。
 まさか、この男が、いやこの男の家族が、京太郎に衝撃を与えることになろうとは、京太郎は、まだ、予想もつかなかった。


続く?!
MISSHAN 2008/08/18(Mon)13:52:37 編集
ハナガミ流ミラーマン2008
「どういう事ですか?」京太郎は村上に尋ねた。「鏡君がマンションに向かった時、すれ違いに藤本が我々の所に来て教えてくれたんだ。御手洗博士はニセモノだとね。」藤本によると、SGMのメンバーは全員、博士に洗脳されて操られていたが、藤本だけは博士の行動に不信を抱き、洗脳されたフリをして探りを入れていたのだという。マンションに爆弾を仕掛けて、京太郎を暗殺する計画があったことも話した。「それで、誰もいなかったのか・・・。」「いや、そうじゃない。あれはインベーダーが異次元の中に創った、架空の世界なんだ。実際に存在しているのは、我々とSGMのメンバーだけさ。」「・・・?」「ミラーマンが鋼鉄竜と戦ったのも、全て作り事さ。インベーダーが我々に幻を見せたんだ。本当に過去の世界にいると思わせるために。」「どうしてそんな事をする必要があるんですか?」「まぁ、これは推測だが・・・」藤本が続ける。「流石のインベーダーでも、過去と現在を自由には往き来できないんじゃないかな。」
ハナガミ王子 2008/08/19(Tue)01:37:06 編集
ハナガミ流ミラーマン2008
「鏡君を過去の世界に送り込んで・・・まぁ、実際は異次元の世界なんだが・・・。仲間である我々SGMの手でミラーマンを抹殺させるのが目的なんだ。21世紀にはSGMは解散して存在してないんだろう?」村上から「未来」の全てを聞いたのだと藤本は言った。「何もそんな面倒な事をしなくても・・・。」「奴らは遊んでいるんだよ、まるでゲーム感覚さ。どうしたらSGMの手でミラーマンを抹殺できるのかを。」インベーダーとは、何と恐ろしい奴等だ。「さっきの電話の先生の声は?」「アイツにやってもらったのさ。」ロープで縛られたサングラスの男が、床に倒れていた。「先生のニセモノさ。アイツが御手洗博士に化けていたんだよ。マンションに時限爆弾を仕掛けさせて、君の帰りを待っていたんだ。」「でも、爆発はしなかった・・・。」「そうさ、爆弾は先生に止めさせた。これを使ってね。」藤本は銃を見せて言った。「あの不思議な車の存在も、この先生に教えて頂いたんだ。その車で、チーフと安田君は先に現代に戻った。先生が一緒なら、疑われることもないからね。そして今度は、鏡君を異次元から脱出させようと芝居をした、という訳さ。運転手はインベーダーの手先だし、なによりあの車の操作方法が分からない。」と藤本は笑った。
ハナガミ王子 2008/08/19(Tue)11:48:31 編集
「京太郎再び」その6。
 その時は、突然やってきた。
 京太郎は、この日、堀田美紗医師の代理で、湖賀郁美巳の母の告別式に出席していた。
 郁巳の心の中は、涙でびしゃびしゃになっていた。
 (なんで死んじゃったんだ。僕をおいて。なんで死んじゃったんだ。ひどいよ。ひどいよ、おふくろ!これからどうすればいいんだ。なんで死んじゃったんだ!)
 そこには、理論的な感情らしいものが、全く見受けられなかった。
 京太郎には、とてもそれが、二十七才の妻のいる男の思考とは、思えなかった。
 郁巳の母の直美が死んでから、一昼夜経っても、涙でびしゃびしゃの彼の心の中は、ただおろおろと数種類の短い言葉を繰り返し続けていた。
 (なんで死んじゃったんだ。僕はこれからどうすればいいんだ。ひどいよ。自分だけ死んじゃうなんてひどすぎるよ。)
 彼の涙は、甘えん坊の涙とでも言うしかなかった。
死んだ母の思い出にすがり、泣きじゃくることによって、彼は、自分を甘やかしていた。
 母から甘やかされ続けてきた彼を今、甘やかせることが出来るのは、死んだ母の思い出だけだった。
 本当に、これが、一流大学を卒業し、一流の製薬会社に勤めている二十七才の男の思考なのかと、京太郎は思い、自分のテレパシー(読心能力)を疑わずにはいられなかった。
(この涙が、いったいいつまで続くの?いつ泣き止むの?彼の体は、全部涙でできてるんじゃないの?)
 人前もかまわす、泣き続ける夫を眺めながら、そんなことを考えている幸子に、京太郎は、同情した。


続く?!
MISSHAN 2008/08/19(Tue)22:01:18 編集
「京太郎再び」その7。
 幸子は、郁巳と結婚して以来三年間、直美と郁巳の異質な親子関係に悩まされ続けてきたのである。
 (これから、当分、今度は、彼の涙に悩まされそう。しかし、いったいいつになったら、泣き止むの?)
 夫が、一生母の思い出から、抜け出ないのではないかと予想し愕然とした幸子を京太郎は、理解できた。
 京太郎は、郁巳の異常さを病理的には、幸子以上によく知っていたから、幸子の心配が決して、理由のないものではないこともわかっていた。
 しかしもし、郁巳が、母から自立できるチャンスがあるとすれば、それは、母の死という以外にないことも、京太郎は知っていた。
 もちろん、郁巳が自立できるかどうかは、郁巳の意志にかかっているのである。
 告別式が始まったので、京太郎も客間から次の間にまであふれた出席者のいちばん後ろに正座して、僧の読経を聞いていた。
 親類、縁者のほとんどが、郁巳の強い母の執着を薄々気が付いて知っているようだった。
 列席者の多くは、後日の話題を求めて、郁巳の号泣とそれに対する幸子の様子を興味深く、見比べていた。
 (幸子さんのあの嬉しそうな顔見てよ、ほっとしたのよきっと)
 (大の男がまぁ、顔じゅう涙だらけにして)
 (体裁ってことも考えないらしいな)
 (ガキだ。もう二十七才になってしまってるんだから、今からじゃとても大人には、なれないんじゃないか?ずっとガキのままだよ。幸子さんも大変だな…湖賀家もこれで終わりだ)
 (幸子さん、決まり悪いだろうな、夫があんなざまじゃ、せめて悲しいふりでもしてればいいのに)
 京太郎は、この親子との出会いを思い出していた。


続く?!
MISSHAN 2008/08/20(Wed)14:25:32 編集
「京太郎再び」その8。
 京太郎が、この親子を知ったのは、2ヶ月前、直美が入院してからだった。
 美紗の父の古い付き合いのある人だということで、美紗を頼って入院してきたのである。
 直美が死んだ今、幸子は、確かに肩の荷ひとつ下ろした気持ちになっていた。
 京太郎が、幸子の心の中を覗くと、義母の死を喜ばずにいられない自分への罪悪感を打ち消そうとして、幸子は、懸命に直美から受けた仕打ちや、怒鳴りつけられた時のことを思い出していた。
(罵倒、憎まれた、看病すればするほど憎まれた、他の病室、廊下にまで聞こえるぐらいの大声で、わたしを殺すつもりか、バカ、叫んだ、わめいた、でも、あれだけ憎まれて、あれだけ怒鳴られて、まだ真心を持ち続けていられるものか、ムリムリ絶対ムリよ!)
 むきになって、自己弁護するところに幸子の善良さがあった。
 京太郎は、幸子が直美の虐待によく耐えられたものだと思った。
 勝ち気な若い女性なら、すぐ離婚していただろうに…。
 京太郎は、直美が、入院してからのことを思い出していた。


続く?!
MISSHAN 2008/08/20(Wed)14:55:10 編集
「京太郎再び」その9。
 京太郎は、湖賀直美が入院してから亡くなるまでの郁巳の姿を思い出していた。
 京太郎は、生まれてすぐに、御手洗博士に預けられ、本当の親の愛情というものを知らずに生きてきた。だから、他人の親子の関係に興味があり、普通ではないと思われる、この郁巳と母との関係をよく覚えていたというより、忘れられないでいた。
 直美の病状が悪化するにつれ、郁巳は、一種の狂態を見せ始めた。
 彼は、会社を休み、母の枕元から離れようとしなくなった。
 そして、彼は、直美が死ぬまでの一週間、会社を欠勤した。
 「ママが死んだというならともかく、病気というだけでは、欠勤の許可は与えられないって課長がそういうんだよ」
 京太郎は、郁巳が、直美の枕元で得意げに喋るそんな話を聞いてしまった。廊下を通りかかった時に、聞こえてしまったのである。
 京太郎の病室も個室で、隣の個室に入院していたのが直美だったのだ。
 「それで、郁巳ちゃんは、どう言ったの?」
 「じゃ、無断欠勤しますって、僕そう言ってやったんだ。君に休まれちゃ困るなぁって、課長言ってたよ」
 「お前がどれだけ重要かは、お前が欠勤した時に分かるのさ」
 と直美は、嬉しげにそう言った。
 「困らせてやりゃいいよ」
 郁巳はいつも直美に、ママと呼び掛けていた。
 直美が、喜ぶからだった。
 郁巳はまず直美の前では、仕事の内容に関したことを考えないようにしてきた。
 直美に理解出来ない込み入った仕事のことを郁巳がひとり考え続けていると、直美が、不機嫌になるからだった。
 だがそれ以外の全て、郁巳はママに話した。
 小さい頃から、ずっと郁巳はそうしてきたのである。
 大学を出て就職してからも、直美が死ぬまでの間、ずっと郁巳は、会社の全ての出来事を直美に話してきた。
 怒りや悲しみをママに洗い浚い打ち明け、困っている場合は、相談を持ち掛けていたのである。
 郁巳は、家の外で起こった全てを自分ひとりで考えようとはせず、むしろ、ママに話すまで考えまいとし、いわばママのもとへ口にくわえて運び続けていたのである。
 京太郎は、隣室から聞こえてくる親子の会話を聞かされていた。


続く?!
MISSHAN 2008/08/21(Thu)23:07:54 編集
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 現在、発売中の『さよならミラーマン』の86頁ー当時の制作主任、設楽氏と助監督、北村氏の対談において以下の件~ ”~志村さんは、下に優しく上には厳しい人なんです。絶対お世辞を言わない、珍しい人でした。損と言えば損ですよね。世渡りベタというか。あ、この人も出世しない人だ(笑)。*(山浦さんとの対談参照)  とあります。これは脚本家の山浦弘靖氏との対談において設定上「出世しない人」という言葉があり、それにリンクするものとして捉えておりましたが、86頁においてもスタッフ思いであり、スタッフの為に上にも媚を売らない凛とした性格ーそれ故にスポンサーなど上とはぶつかることも多く、才能があるのに出世はしずらいー という意味として対談時の通り記述させていただきました。  ですが、とらえようによっては誤解を招く文章でもありますし、また発言者となった北村氏にもご迷惑をかけかねない要素も含まれておりますので、ここに弁明並びに不用意な文法となったことをお詫び申し上げます。また、この文章を読まれて御不快に思われた方には、真意は異なるということと、不用意な文法である点に関してお詫びを申し上げるとともに、ご理解賜りたくここに敢えて記載させていただきます。 株式会社大洋図書  「さよならミラーマン」編集スタッフ一同
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