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俳優、石田延之こと鏡京太郎が綴る36年間、鏡の中に封印してきた想いと未来を綴るぺーじ。
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現実世界へ出ようと鏡に向かった嶋。
だが、嶋の体は跳ね返され出る事が出来ない。

「何故だ!どうして出る事が出来ないんだ!」

 振り返ると、光の乱舞する先の暗黒の中にある鏡の世界への出入口が崩れ、消えて行くのが目に飛び込んで来た。

「!!」

 別の窓枠を見ると、駅のホームに置かれていた鏡なのであろうか、そこから見えたのは崩壊した構内の光景であった。ホームの屋根は崩れ落ち、線路は飴のように曲がり、その横に電車が横倒しに脱線していた。

「地震だ!地震があったんだ!!・・・そうか! 地震のために鏡が・・・・・!」

 地震によって現世と鏡の世界への架け橋であった古代鏡が壊れてしまったのだ。おそらく、本体である古代鏡が壊れた事により、その霊力が失われてしまったのであろう。

 このままでは、嶋は永久に時の無い世界から出られないのだ。
状況を把握すると同時に、不安と恐怖とが嶋の心臓を締め上げた。

 窓枠を見ると、機内に取り付けられた鏡から、嶋の状況がわかっているのか、勝ち誇った笑みを浮かべた雪村がこちらを見ている姿が映っている。

 この地震も、もしかしたら雪村が成した現象だったのではないのか?
そう思うと今すぐにでも、機内に飛び移りたかった。雪村さえ倒せばこのお現象が収まるような気がした。

しかし、外の景色は見えても、鏡の表面は今までとは違って冷たく、そして硬かった。頑なに嶋を拒んでいるかのようだった。


「くそっ! どうすれば…、どうすれば出られるのだ!」

 恐怖と絶望感の中で、あるともわからぬ出口を求め、嶋はその場を離れた。

 閉じ込められたのは今しがたであるのに、現世ではどの位の時が経っているのであろうか、時折見る窓枠には嶋が今まで見た事も無いような新型の車や人々のファッションが映し出されている。
おそらく現世では限りない時が流れているのだ。一つの窓と窓の間の何歩かが、あっという間に数十年をひとまたぎにしているのかもしれない。
何年、何十年先でもいい…どこかに出られる窓が、鏡がないものか…?嶋はあてどもなく歩き続けた。

 しばらく歩いていくうちに、嶋は一つの窓枠に目を取られた。

 そのガラスの窓枠に映し出されていたのは、ベッドに横たわり臨終を待つ老人の姿であった。

「…!」

 よく見ると、それは老いた自分の姿であった。

「あれは、俺だ!…と云う事は…、出られる! 俺は現世に戻れるんだ!」

 嶋の心に光明がさした。

「だが、どこに出口が…」

 嶋は、辺りを見回した。

 そこには薄い層の壁が、合わせ鏡をしたように幾重にも無限に広がっていた

「待てよ!この世界は明と暗に二分されている。明は、現在から未来へと続いている…、と云う事は・・・。暗の世界は過去へ続いていると云うか!?」

 言うや嶋は、脱兎の如くオーロラの壁を抜け出した。時の無い世界では、オーロラの壁を抜け出るのに時間はかからなかった。

 オーロラの壁の外に立ち、嶋は光の球が乱舞する先に広がる暗黒の空間を見据えた。

「必ずこの先に出口があるはず・・・!」

 希望と確信を胸に、一歩、二歩と暗黒の世界へ踏み出した。
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関東一円を地震が襲った。そからしばらくの時が流れた。

そこは、暗闇だった。

闇はどこまでも続いていた・・・・・。

 嶋は、在るともわからぬ出口を求め暗渠の中を彷徨いながら、鏡の中に閉じ込められてからの事を思い返していた。

 

ハイジャックを阻止するため、嶋暁彦は鏡の世界へと飛び込んだのだった。
ジャックされ羽田空港に緊急着陸したTAR351便。
そのトイレの鏡から出ようとした時であった。
鏡の中の空間が波打ち始め、辺りに浮遊するガラスの窓枠が蠟燭灯が溶けるかのようにどろりと融解し始めたのだ。

 突然の現象に驚いたが、嶋は改めて機内トイレに備え付けられている鏡に向かい、目出し帽を頭からかぶると、体を押し付けた。ところが、押し付けた体は跳ね返され鏡の中から出る事が出来なかった。
何度試みても嶋の体は跳ね返されてしまう。

「何故だ!」

 不安が渦のようにとぐろを巻く。
だが急がなければ、ハイジャック犯は何をしでかすか分からない。嶋は別の鏡へと向かった。

 覗くとそこからは機内の様子がよく見える。客室前方に取り付けられている鏡のようだ。

 嶋は、内部の様子を窺った。

 銃を持った大男が三人通路に立ち、客たちを威嚇していた。客たちは、恐怖に顔を引き攣らせ恐れおののいている。

 と、突然機内の空間が歪み始めた。

乗客たちは、人質にされている恐怖と周りで起きた奇怪な現象に恐れおののいている様子が見える。

そして、歪みの中に出来た裂け目から液体のようなドロドロとした黒い物体が現れた。機内はパニック状態になっている。

歪の中から湧き出るように床に流れ出た黒い液体は、徐々に人の形を模って行き甲冑に似た衣装をまとった小男の姿になった。

 小男は、雪村幸男であった。 

「雪村!・・・生きていたのか!」

 死んだと思っていた雪村が生きていた。

嶋は愕然とした。
かつて、病院地下で対峙した雪村。今度は何をするつもりなのか?

とにかく、急ぎ現世に出ようとガラスの窓枠に体を押し付けた。

 数分間、揺れは続いた。やがて、大地のドラムがこんどは、唐突に消えた気がした。どうやら地震は納まったものらしかった。

小原が目を開けてみると
凄まじい光景が目の前にあった。

 道路を隔てて林立するビル群には目に見える大きな亀裂が入り、そこかしこで黒煙を噴き上げている。
道路は地割れによって陥没し、あちこちで水道が噴出している。怪我をした人達の助けを求める声が唸りのように聞えて来る。ついさっきまで、目の前で営業していた筈の店は、そこには何もなかったかのように崩れ去っていた。大震災は知らない小原だったが、それまでに経験した地震の揺れとは、どこか異なる揺れであった。

「何てこった!佐伯!皆!大丈夫か!」

 従業員の安否を気遣い小原が叫んだ。

「大丈夫です!」

 落ちて来たガラスの破片で切ったのであろうか、額から血を流した佐伯が答えた。

 店は辛うじて原形をとどめていたが、厨房から小さな火の手が上がりスタッフが消火にあたっていた。あちこちに亀裂が入っている。幸い、新しい物件であることと、資金が潤沢だったこともあり、設計には念が入っていた。その為か店はしっかりと大地に根を張っているように見えた。

 スタッフの無事を確認した小原は全身の埃や破片を払った。

 漸く、人心地ついた思いで空を見上げた。

 竜雲が朱色に染まる天空を覆い隠すように、突如湧き出た分厚い雲の中へ吸い込まれ、かき消えて行くのが見えた。

 まるで、本当に竜が尾をくねらせて雲間に消えてゆくような、生き物のように見えた。雲は天変地異を予言することがある。あの空の色と言い、竜のような形と言い、雲が地震を招き寄せたのでは?と一瞬思わせるような不気味な雲であった。

「嶋さん!…嶋さんや蔵元さんは大丈夫だろうか!」

 破壊された街並みを前に、小原は二人の安否を気遣いポケットから携帯電話を取り出した。

「オーナー!あれは何ですか!?」

 佐伯がスットンキョな声を出し、小原に声をかけて来た。

 佐伯が促す方向を見ると、崩れ落ちた目黒新橋手前の空間が陽炎のように歪み、その歪む空間に出来た裂け目の中に黒い影のような物が入って行くのが見えた。ゆらゆらとしているようで、明らかに確かな形を持っている。

 黒い影が消えた後、空間は何事もなかったように歪みも消え、黒煙と炎にあぶられるかのように惨状が横たわっている。

「何なんだあれは!?」

 小原は声にならない声で言い、錯覚でない事を確かめるように佐伯と顔を見合わせた。

不思議な現象であった。

破壊された街に立つ二人は、言葉を失いただ呆然と立ちつくしていた。


 

…つづく

JR目黒駅から、目黒通を大鳥神社方面に向かうと、途中緩やかな下り坂になっている。その坂を下りきった所に小原晋吉の新店舗はあった。

 三十坪ほどある店内では、小原をはじめ、厨房スタッフ3人、フロアースタッフ4人が夕方からの新規開店に向け忙しく動いていた。

「オーナー、ロビー花外に並べますがいいですか」

 フロアースタッフの佐伯が小原に聞いて来た。

「ああ、頼む」

 答え、店内に置かれた五台のロビー花を見た小原は、その中の一台に目が止まった。

 送り主は、嶋 暁彦であった。

 小原は十数年前、リストラされたのを期に脱サラし、長年の夢であったレストラン経営を始めた。だが、経営に関しては素人の悲しさか、店は失敗に終わり多額の負債を抱える事になってしまった。
それが元で妻子には逃げられ、その後は、屋台を引きその日暮らしの生活を送っていたのだ。

ところが、ひょんな事から元レーサー嶋暁彦と知り合った。自分同様に過去に購いきれない傷を持った嶋に、どことなく同じ影を見たからかもしれなかったし、単に同じアパートの住人というよしみだったかもしれない。

 だが、しばらくしてその嶋が、
「人生をやり直してくれ」

と、どの様にして手に入れた金なのかわからなかったが、多額の金額を渡してくれたのだ。

「・・・嶋さん。ここまで漕ぎ着けられたのは、あなたのお蔭だ・・・」

 小原は、呟く様な声で感謝の気持ちを口に出した。

その嶋暁彦が、今日の開店祝いに来てくれる事になっているのだ。

腕時計を見ると、時計の針は340分を指している。

「開店まで、あと一時間と少ししかないぞ! 準備急いでくれ!」

 小原は、スタッフに声をかけた。

「はい!」

 威勢のいい返事が返って来る。

と、入口ドアが開き、ロビー花を外へ飾り置きに出ていた佐伯が血相を変え小原を呼んだ。

「オーナー、一寸来て下さい! 変なんです!」

「どうした?」

 小原が外へ出ると 通りでは大勢の人たちが西の空を見上げている。

「あれ・・・。何でしょうね?!」

 佐伯は怪訝な顔で空を指差した。

 見ると、茜色に染まりだした空に、竜雲が天空を舞うように幾つも浮んでいた。

 その雲は、自らが自発的に発しているのか不気味な色を発している。

「気持ちの悪い雲だな・・・。生きているみたいだ」

「・・・そうだな・・・。それより佐伯君、開店は5時だ、急いでくれ!」

 言って小原は店内に戻ろうとした。

 その時、地の底で地鳴りが響いてきているのが耳に入った。まるで下手糞なドラマーが狂ったように、ビートを刻んでいるような低音が、次第に大きくなり、我慢ならんといった感じでそれが突きあげてきた。

大地がなにかに怒るかのように、奇怪な音をたてていた。

 堪らず小原は地面に這いつくばった。

  「地震か!?」

 目の前の道路がうねっていた。走行中の車は軋み、ブレーキで悲鳴を上げた。それでもハンドルを取られたのか、四方八方に飛び出すと電柱にぶつかったり、落下物に遮られるかして止まっていた。 
突然の異変に人々は逃げ場を失い右往左往していた。一歩前に進もうにも揺れが激しく、下手糞な波乗りのようにぐらついては倒れている。そこへ、割れたガラスや、飛びだした家具が降り注いでは、惨状を広げていった。

頭を両手で庇い小原は地面につっぷしているより術がなかった。
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 現在、発売中の『さよならミラーマン』の86頁ー当時の制作主任、設楽氏と助監督、北村氏の対談において以下の件~ ”~志村さんは、下に優しく上には厳しい人なんです。絶対お世辞を言わない、珍しい人でした。損と言えば損ですよね。世渡りベタというか。あ、この人も出世しない人だ(笑)。*(山浦さんとの対談参照)  とあります。これは脚本家の山浦弘靖氏との対談において設定上「出世しない人」という言葉があり、それにリンクするものとして捉えておりましたが、86頁においてもスタッフ思いであり、スタッフの為に上にも媚を売らない凛とした性格ーそれ故にスポンサーなど上とはぶつかることも多く、才能があるのに出世はしずらいー という意味として対談時の通り記述させていただきました。  ですが、とらえようによっては誤解を招く文章でもありますし、また発言者となった北村氏にもご迷惑をかけかねない要素も含まれておりますので、ここに弁明並びに不用意な文法となったことをお詫び申し上げます。また、この文章を読まれて御不快に思われた方には、真意は異なるということと、不用意な文法である点に関してお詫びを申し上げるとともに、ご理解賜りたくここに敢えて記載させていただきます。 株式会社大洋図書  「さよならミラーマン」編集スタッフ一同
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